2016年9月4日日曜日

人工知能?

西垣通 著「ビッグデータと人工知能」を読み返してるところ。
参考までにアマゾンのレビュー12件にざっと目を通したけど、
うまく要約してる2件以外は、ちょっとずれてる気がした。

生物(例えば人間)にとっての情報と機械にとってのそれとは
原理的に異なる。機械がどんなに複雑・精巧に作られていても、
プログラムがどんなに大規模でも、道具にすぎない。
実際、PGやSEでシンギュラリティを本気で信じてる人、いないんじゃないかな。

お話としては、井上夢人著「パワー・オフ」がよく出来てる。
99年の小説だから古いけど、プログラムコンバータを遺伝アルゴリズム
で進化させている最中にウィルスが混入、人工生命が誕生して
ネット上に増殖、人間とのコンタクトを試みる。

西垣さんの本に戻ると、
シンギュラリティの議論を理解するには、西欧の文化的背景を知るべき。
人工知能はありえない。AIではなく、IAとして利用すべき。
文系・理系の枠を超えた教育の重要性。
その通りだと思う。
ただ、技術の発展が私達の生活を豊かにする、という前提が引っかかる。
例えば、ビッグデータを活用することで、個人消費を掘り起こして
経済を活性化したり、災害に備えたり、という話。
センサーを至るところに設置しネットワークで結び、
機械学習によって莫大な量のデータを処理する、っていうけど、
それによって得られる便益は、コストを上回るのかな?
コストというのは、地下資源の減少と廃棄物の増加、
戦争(効率的な大量虐殺)への転用のリスク、
発展途上国で悲惨な条件のもとで働く人たちの労力。

これまでの技術の進歩は生産・消費のサイクルを加速し、
経済成長を促してきたけど、これからはもう無理じゃね?
資源と市場が無限にあるならそれでもいいけど、
地球はひとつしかないんだし。

新たに生産するよりも小さなコストで、今あるものを
再利用する技術や仕組みを開発するほうが大切な気がする。

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